特別な平行四辺形の解法
■ 特別な平行四辺形の定義
【定義】4つの角がすべて等しい四角形を長方形という。
【定義】4つの辺がすべて等しい四角形をひし形という。
【定義】4つの辺がすべて等しく、4つの角がすべて等しい四角形を正方形という。
※ これらは平行四辺形の特別な場合であり、正方形は長方形でもひし形でもある。
■ 特別な平行四辺形と対角線の定理
【定理】長方形の対角線は長さが等しい。
【定理】ひし形の対角線は垂直に交わる。
【定理】正方形の対角線は長さが等しく、垂直に交わる。
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問題解説:特別な平行四辺形
問題解説(1)
次の問いに答えよ。
\({\small (1)}~\)四角形 \({\rm ABCD}\) が長方形であるとき、
\({\rm AC=BD}\)
であることを証明せよ。
・\({\rm AC=BD}\) を示すために、\(\triangle {\rm ABC}\) と \(\triangle {\rm DCB}\) に着目する。
・長方形の定義より、\(\angle{\rm B}=\angle{\rm C}\)
・対辺が等しいので、\({\rm AB=DC}\)
・共通の辺より、\({\rm BC=CB}\)
・合同条件は、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。
[証明] \(\triangle {\rm ABC}\) と \(\triangle {\rm DCB}\) について、
長方形の定義より、
\(\angle{\rm ABC}=\angle{\rm DCB}~~~\cdots{\large ①}\)
長方形は平行四辺形でもあり、対辺が等しいので、
\({\rm AB=DC}~~~\cdots{\large ②}\)
共通の辺より、
\({\rm BC=CB}~~~\cdots{\large ③}\)
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
\(\triangle {\rm ABC}\equiv\triangle {\rm DCB}\)
合同な図形では対応する辺の長さは等しいから、
\({\rm AC=DB}\)
したがって、
\({\rm AC=BD}\)
[終]
問題解説(2)
次の問いに答えよ。
\({\small (2)}~\)四角形 \({\rm ABCD}\) がひし形であるとき、対角線の交点を \({\rm O}\) として、
\({\rm AC\perp BD}\)
であることを証明せよ。
・\({\rm AC\perp BD}\) を示すために、二等辺三角形 \(\triangle {\rm ABD}\) の \(\angle{\rm }\) の二等分線が \({\rm }\) を垂直に二等分することを使う。
・よって、\(\triangle {\rm ABO}\) と \(\triangle {\rm ADO}\) に着目する。
・ひし形の定義より、\({\rm AB=AD}\)
・対角線より、\({\rm BO=DO}\)
・共通の辺より、\({\rm AO=AO}\)
・合同条件は、3組の辺がそれぞれ等しい。
[証明] \(\triangle {\rm ABO}\) と \(\triangle {\rm ADO}\) について、
ひし形の定義より、
\({\rm AB=AD}~~~\cdots{\large ①}\)
ひし形は平行四辺形でもあり、対角線がそれぞれの中点で交わるので、
\({\rm BO=DO}~~~\cdots{\large ②}\)
共通の辺より、
\({\rm AO=AO}~~~\cdots{\large ③}\)
①、②、③より、3組の辺がそれぞれ等しいので、
\(\triangle {\rm ABO}\equiv\triangle {\rm ADO}\)
合同な図形では対応する角の大きさは等しいから、
\(\angle{\rm BAO}=\angle{\rm DAO}\)
これより、\(\triangle {\rm ABD}\) は二等辺三角形であり、線分 \({\rm AO}\) は \(\angle{\rm A}\) の二等分線である
二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺を垂直に二等分するので、
\({\rm AO\perp BD}\)
したがって、
\({\rm AB\perp BD}\)
[終]
問題解説(3)
次の問いに答えよ。
\({\small (3)}~\)次の図において、
①〜④にはどのような条件を加えればよいか、以下よりすべて選べ。
\(\begin{split}~~~&\angle{\rm A}=\angle{\rm B}~,~{\rm AB=BC}\\[2pt]~~~&{\rm AC=BD}~,~{\rm AC\perp BD}~,~\angle{\rm A}=90^\circ\end{split}\)
① 長方形になるためには、
・4つの角がすべて等しい
・対角線の長さが等しい
であればよい
\(\angle{\rm A}=\angle{\rm B}\) のとき、平行四辺形の対角は等しいので、
\(\angle{\rm A}=\angle{\rm C}~,~\angle{\rm B}=\angle{\rm D}\)
となり、
\(\angle{\rm A}=\angle{\rm B}=\angle{\rm C}=\angle{\rm D}\)
となる
また、\(\angle{\rm A}=90^\circ\) のとき、
平行四辺形の対角は等しいので、
\(\angle{\rm A}=\angle{\rm C}=90^\circ\)
四角形の内角の和が \(180^\circ\) より、
\(\angle{\rm B}+\angle{\rm D}=180^\circ\)
\(\angle{\rm B}=\angle{\rm D}\) より、
\(\angle{\rm B}=\angle{\rm D}=90^\circ\)
よって、
\(\angle{\rm A}=\angle{\rm B}=\angle{\rm C}=\angle{\rm D}\)
となる
また、\({\rm AC=BD}\) のとき対角線の長さが等しくなる
したがって、条件は、
\(~~~\angle{\rm A}=\angle{\rm B}~,~{\rm AC=BD}~,~\angle{\rm A}=90^\circ\)
となる
② ひし形になるためには、
・4つの辺がすべて等しい
・対角線が垂直に交わる
であればよい
\({\rm AB=BC}\) のとき、
平行四辺形の対辺が等しいので、\({\rm AB=DC~,~AD=BC}\) となるので、
\({\rm AB=BC=CD=DA}\)
となる
また、\({\rm AC\perp BD}\) のとき、対角線が垂直に交わる
したがって、条件は、
\(~~~{\rm AB=BC~,~AC\perp BD}\)
となる
③ 長方形が正方形になるためには、ひし形でもあればよい
よって、②と同じ条件となり、
\(~~~{\rm AB=BC~,~AC\perp BD}\)
となる
④ ひし形が正方形になるためには、長方形でもあればよい
よって、①と同じ条件となり、
\(~~~\angle{\rm A}=\angle{\rm B}~,~{\rm AC=BD}~,~\angle{\rm A}=90^\circ\)
となる